ザ・対談

街の活性化に頑張っている方々と 永井まさととの対談を連載でご紹介する「ザ・対談」です。 様々なジャンルをインタビューしますのでお楽しみに。

第1回
talk with...

安浦のセータイ
六浦地区センターボクシング講師

杉山 正弘

横須賀市内外を問わず、まちづくりや社会課題の解決へ力を注いでいる方は数多くいらっしゃいます。たくさんの方に出会い、話を聞く機会があるのですが、ぜひ他の多くの方と共有したいという話がたくさんあります。このページでは対談という形で様々な方からお話を伺っていきます。第1回は安浦で整体をやりながらボクシングを教えている杉山さんとお話しします。杉山さんは東京オリンピックでボクシング金メダルを取る選手を育てる夢を持っています。横須賀市アマチュアボクシング協会顧問として横須賀からそのような選手が現れるように私も応援していきたいと思っています。そんな杉山さんが障害を持つお子さんたちにボクシングを教えることで気づいたこととは一体何なのか、ぜひお読みください。

横須賀で営んでいる整体について

分かりやすく丁寧に語りかける杉山さん。

分かりやすく丁寧に語りかける杉山さん。

永井 杉山さんが行っている施術で特に意識していることはありますか?

杉山 基本的な整体も行っていますが、女性のフェイスをキレイにすることに力を入れていて、腰の痛み、肩の痛みで来店して頂いているお客様にもフェイスケアを受けて頂いています。女性の悩みである“しわをとりたい”という声のお応えし、多い時では月に60人くらい施術しています。
 お客様でお花の先生で座ることが多く、立ち上がる時の膝の痛みをきっかけに来店して頂いている方がいますが、同時にフェイスケアをご案内し施術したところ、表情がガラッと変わりお喜びいただきました。今では膝の治療が終わり、フェイスケアのみでご来店頂いております。

永井 どんな方々が来られるのでしょうか?

杉山 たまたまですが芸術家の方達が来て頂いております(笑)。
 書道家の先生たちも多く、ある方は足の広がりを直すために来店。最初に来たときはかなり痛がっている様子でしたが1年間通って頂き、足の広がりが治り、お客様が喜びのあまり乾杯ムードとなり差し入れで頂いたコーンスープで乾杯しました(笑)。
 その他にも、陶芸の先生、カントリーダンスの先生や、俳句の方等も通って頂いています。
 カントリーダンス教室の生徒さんが整体とフェイスケアで通っていて、変わっていく姿を先生が興味を持って頂き、先生も来店するようになりました。ダンスをされている方は見た目も体作りも意識されるみたいで、とてもご好評いただいております。

永井 杉山さんと知り合ったのも盆栽の会でしたよね。横須賀の土を使って陶芸をしてみたいとおっしゃっていましたので、杉山さんも芸術家としての感覚を持っているからこそ集まるのかもしれないですね。

杉山 そうですかね(笑)。ありがとうございます。

六浦で指導されているボクササイズ、ボクシングについて

ボクシング指導風景  

ボクシング指導風景

 

子供たちへのボクシング指導風景

子供たちへのボクシング指導風景

永井 杉山さんはボクシングもされているということで、もともと小さなころからボクシングをやられていたのですか?

杉山 もともと小学生の時に空手をやっていました。ですが、足よりも手が長く蹴りが届かないということもあり転向しました(笑)。あとは漫画あしたのジョーの影響も少なからずあると思います。

永井 そうなんですね。ボクシングではプロになられたのですか?

杉山 19歳でプロデビューを果たし、25歳で引退をしました。やはりチャンピオンになるというのは難しかったです。その未練を果たすべく、現在は子供たちを中心にボクシング教室を開き教えています。

永井 教え始めてからけっこう経つのですか?

杉山 10年近く前に六浦にあるケアプラザという施設に尋ねたところ、快く受け入れて下さったのですが、最初は選手になる生徒がいませんでした。施設の方と話をして、ママさん向けのボクササイズを始め、ボクササイズを教えながら生徒を募集していました。ボクササイズの帰り道、生徒募集のことを考えながら歩いていると高校生が20人程で公園に集まっていたのでずっと見ていたら、近づいてきたので「俺とスパーリングをやらないか」と声を掛けたところ、スパーリングをやることになりました。グローブを付けジャブを打ちつつかわしながらカウンターを打ったら、ボクシングに興味を持ってもらい「教えてください」とその場の3人に懇願され生徒になってくれたこともありました。(笑)。現在はボクササイズと小学生のボクシングを教えています。

永井 面白いエピソードですね。ところで杉山さんは2020年のオリンピックに向けて夢があるというお話ですが、どのような目標がありますか?

杉山 ロンドン五輪で村田選手が48年ぶりに金メダルを取りました。その姿を見て教え子たちが「俺の連打の方がすごい」、「内容を見たら十分次の五輪も狙える」と自信を持ってくれました。私の感覚ではリオの次に東京が来ると思い、まずリオ五輪の出場を目標に、そして東京で良い結果を出せるよう指導を続けました。ですが、うまくはいかずにリオ五輪の出場は叶いませんでした。今は、女性で東京五輪に出場したいという方も募集しています。女性のボクシング人口は低く、出場するにあたっても、自国開催の東京五輪であれば国内で1,2を争う強さであれば出場できます。男性と変わらぬ指導を行いますので、少し辛いかも練習かもしれませんが、チャンピオンに育てる自信はあります。

永井 目標が高いというのは大事ですね。杉山さんの指導の下、女性チャンピオンが生まれる日を待ち望んでいます。ちなみにボクシングはシェイプアップ効果もあるのでしょうか。

杉山 ボクシングは他の格闘技に比べとても効果はあると思います。レスリング、柔道などはガッチリとした体作りを行いますが、ボクシングはパンチを打つこと、3分間動き続けること、筋肉に負荷をかけてのトレーニングがあまりないので、自然と体が絞られていきます。今流行りの腹筋女子になるのなんて容易だと思います(笑)。私は走り込みだけではなく、呼吸法から指導するの
でシェイプアップも、体力作りも任せてください。

永井 確かに他のスポーツと比べ体は絞られていますね。呼吸法からの体力作りも非常に関心が持てますね。杉山さんは小学生も指導しているというところで、障害を持つお子さんも教えているとお聞きしましたが、どのような取り組みをされていますか。

杉山 教え始めてから月日が経ち、先ほど話したケアプラザでのボクシング教室を受け入れていだいた方が定年退職をされました。その方が障碍者施設を運営されていたので、「いつか世界チャンピオンを連れて挨拶に行くぞ」思っていた矢先、その方から障碍者の子供にボクシングを教えてくれないかと話が来たのがきっかけです。最初は健常者と分けて指導していましたが、本人たちにも刺激になると思い段階的に一緒に指導をしていきました。子供たちも戸惑いはありましたが、ボクシングを通じて段々と友情が芽生えはじめました。

永井 そのような経緯があったのですね。子供たちは、最初戸惑いや怖いという気持ちがあったのではないでしょうか。

杉山 普段ないコミュニケーションの為お互いに歓迎しよう、友情を芽生えさせようと言い聞かせました。そのうち一生懸命に取り組んでいる姿をお互いに見ていて、「頑張れ」と励ましあうようになりました。
 消極的だった障害の子も慣れや一体感を感じ、徐々にですがみんなと一緒に参加するようになり、障害の子、健常者の子関係なくどんどんと積極的になってくれました。

永井 消極的だった障害を持った子供たちが劇的に変わり、ボクシングを通じて声を出したり、積極的に参加するようになったのですね。

杉山 そうですね。いつも子供たちを送迎してくれる方から「ボクシングに行くまでの車中はものすごく楽しみにしていてはしゃいでいます。ボクシングに通い始め、子供たちは体を動かすことだけでなく、日常生活でも変化が表れてきている」と言われ、心の醸成にもつながったのかなと思っています。

永井 やはり、スポーツをやることによって普段とは違うコミュニケーションの取り方があると思うので、積極的に色々なスポーツのところに行くと変化が生まれるのでしょうね。

杉山 最初はチャンピオンを育てるということを目標に始めましたが、スポーツを通じて健常者の子も障害者の子も指導することによってそれ以上に得るものがありました。子供たちに対しても自分の想像以上に効果があったんだなと感じます。
 強い選手を作るだけではなく、健常者も障碍者も楽しく参加できるスポーツの場を作っていくといいのかなと思います。

永井 話を聞いていてとてもそのように感じました。よりよいまちづくりができたらと思います。本日はとても興味深いお話をして頂きありがとうございました。