ザ・対談

街の活性化に頑張っている方々と 永井まさととの対談を連載でご紹介する「ザ・対談」です。 様々なジャンルをインタビューしますのでお楽しみに。

第11回
talk with...

観音崎自然博物館学芸員

佐野真吾

佐野先生は水生生物の研究者で、特に自他共に認めるゲンゴロウ好き。子供達からの信頼も厚く、昆虫好きの子供達と数多くの活動をしてきました。そんな佐野先生から観音崎の特殊性や今後の活動についてお話しを伺いました。(2023.12.4更新)

観音崎の立地の特殊性

永井 今日は観音崎博物館の会員の懇親会でした。東京や川崎から来られている方もいて驚きました。

佐野 生き物が好きな子供達は観音崎博物館を自分たちの居場所と捉えてくれています。景色の良い観音崎で生き物の観察会なども人気です。

永井 東京、川崎、横浜から車で1時間以内で来られるところでこれだけの海・山の自然環境があり、海洋生物の専門家もいて自然の磯の観察もできる場所は他にないのではないでしょうか。東京湾は埋立地が多いので、自然の磯は本当に貴重ですね。

佐野 そう思っていただけると幸いです。私たちもこの土地の特殊性を感じています。観音崎全体があまり人の手が入っていない自然の研究フィールドであり、その拠点として博物館があることは非常に重要なことです。

永井 私も昔は昆虫図鑑にかじりついて色々な虫を調べるのが好きな子供でした。家の前で見つけたマダラカミキリやウマオイなどの虫を調べて図鑑に載っているのを見つけた時は嬉しかったですね。

佐野 昆虫好きだったんですね!

永井 特にてんとう虫が好きでした。近くの団地に空き地がたくさんあって、草がボーボーに生えているところにてんとう虫がたくさんいたんです。虫かごを持って夢中でてんとう虫を捕まえましたね。成虫も幼虫も含めて。

佐野 意外な一面ですねw

絶滅危惧種や新種発見も

佐野 ここ観音崎は神奈川県の絶滅危惧種がいることでも知られています。房総半島が見えますけど、だいたい7キロくらいで東京湾で一番狭いところなんですよね。

永井 確かに一番狭いところですよね。船の航行も難所だと聞いています。

佐野 はい。それで台風などで房総半島から生き物が運ばれてくるんですよ。

永井 そうなんですかw

佐野 なかなかユニークな動物相があるのも観音崎の特色です。地元の人は知っている方も多いと思いますが観音崎は長いこと立ち入り禁止の区域が結構あるんです。実はそういうところで新種の生物が見つかることもあるんですよ。

永井 まさに宝の山ですねw

佐野 子供達が新種を発見するなんてことも十分にあり得ることなんです。

永井 子供達にとってはワクワクするすごい体験になりますね。

コミュニケーションの機会をもっと身近に

 

永井 一般の私たちにとって専門家の皆さんとお話しできるのは貴重な機会です。

佐野 気軽に話ができる環境も大事だと思っています。私たち専門家同士でも同じことが言えます。例えば海の生物の専門家同士や川の生き物の専門家同士は繋がっていますが、海と川となるとあまり繋がっていない。そうした専門家同士も繋がっていかれるような機会も作っていきたいと思います。

永井 面白いですね。様々な面で物事を捉えることのできる専門家同士だからこそ、話をして新たに気づくこともたくさんありそうですね。

佐野 専門家だけでなく、子供達や専門家でない方達の気づきに驚かされることもあります。そうしたコミュニケーションの機会を作りたいと思っているんです。

永井 具体的に考えていることはありますか。

佐野 はい、11月にそうした機会を作るためのイベントを考えています。ぜひ観音崎博物館のウェブサイトをご覧ください。

永井 今日は貴重なお話をありがとうございました。

 

【後日更新】

対談でも話題に出ていたイベント「カムズ!海淡フォーラム」が11月18日(土)に観音崎博物館で開催されました。 数多くの生物・環境に関する研究家や自然を学ぶ多くの子供達の参加があり、観音崎がいつもと違った活気に満ち溢れていました。 その音頭を取ったのが、今回の対談にご登場いただいた観音崎博物館の若手学芸員の佐野先生です。東京湾地域の様々な研究グループや個人に声をかけ、観音崎に一堂に会する催しを開催するという、今まででは考えられなかったイベントを実現しました。今年70周年を迎える記念行事の一環として開催された本行事ですが、人と人とを繋ぎ、情報共有の一台拠点として観音崎は更なる可能性を擁しています。これからの観音崎博物館の動きに目が離せません。 面白い本もゲットして大満足!!