ザ・対談

街の活性化に頑張っている方々と 永井まさととの対談を連載でご紹介する「ザ・対談」です。 様々なジャンルをインタビューしますのでお楽しみに。

第12回
talk with...

株式会社SWELL 取締役COO 横須賀市eスポーツ協会理事

玉井一樹

横須賀でeスポーツが盛り上がってきています。横須賀市は自治体としていち早く「Yokosuka e-Sports Partners制度」を掲げ、横須賀市内の事業者や教育機関などの民間団体、影響力のあるプロeスポーツチームとの連携をより強化し、eスポーツを通じた新しい価値の創造や革新的なアイデアを生み出すコミュニティの形成を目指しています。その制度に参画し、横須賀市のゲーミングハウスを活用してプロeスポーツチームの活動を行っている株式会社SWELLの玉井氏に今大注目のeスポーツを取り巻く状況と今後についてお話を伺いました。(2023.12.15更新)

オンラインゲームなのにオフライン大会?

永井 今日はお忙しいところありがとうございます。ゲームというと私の場合、小学生時代のシャープMSXで最初はカセットレコーダーでセーブ・ロードしていましたが、PC-88、PC-98ではフロッピーディスクの5インチが終わって3.5インチになった時代でした。日本ファルコムの英雄伝説が好きで昼夜問わず遊んでいました。

玉井 ゲームには馴染みが深いんですね(笑)。

永井 最近のゲームは昔のそれとはちょっと違って、多くの人とソーシャライズしながら進めていくものがたくさんありますよね。一人二人でやるという概念から、オンラインで多くの人と繋がりながらやるような。

玉井 そうですね。人が集まってこそのeスポーツです。国際大会ではオフラインで行われているんです。

永井 オンラインでできるのに、わざわざオフラインで集まる?

玉井 はい、サッカーや野球がゲームに変わっただけと考えてもらえるとわかりやすいと思います。人々の熱気や活気はやはり一つの場所に集まらないと盛り上がりません。eスポーツの競技人口は1億人と言われており、野球のそれと比べても2倍以上です。もちろん観戦者はもっと多いわけです。

地域とつながるeスポーツチーム

永井 なるほど。そういう意味では国際大会はツーリズムにも繋がりますね。御社が運営しているチームについて教えてください。

玉井 はい、弊社(株式会社SWELL)は『UNLEASH THE FUTURE ~未来の可能性を切り拓く~』というビジョンのもと活動するゲームパフォーミングチーム「BC SEWLL」を運営しています。横須賀市さんは自治体としてかなり協力的に動いてくださってまして、市が掲げた「Yokosuka e-Sports Partners制度」に参画する形で、逸見にあるゲーミングハウスにプロeスポーツチームBC SWELLが入っているという格好です。

永井 横須賀から世界に挑戦するチームが活動しているということですね。

玉井 はい、そうです。現在まさにPUBG MOBILE JAPAN LEAGUEという国際大会に出場しています。

永井 BC SWELLは横須賀BC SWELLと地域名を入れて活動しているとお聞きしました。

玉井 はい、やはりプロチームなので拠点のある地域の人たちに一番に応援してもらうことが大切だと考えています。サッカーチームや野球チームに地域名が入っているのと同じ感覚です。

永井 なるほど。地域での活動というのはあるんですか?

玉井 市の上下水道局旧待機用宿舎を改修した住居で地域の高齢者の方々とeスポーツ観戦しながらコミュニケーションを図ったり、市内の高校のeスポーツプレーヤーとの交流など、地域創生の活動も行っています。最近ではチームメンバーが地域を歩いていると住民の方から声をかけられるようになってきたようです。

永井 地域に溶け込んで世界に羽ばたく、そんなメンバーたちの活動が地域活性化に役立つことを大変期待しています。子どもたちのなりたい職業にも上がってきているそうですが。

ゲームではなくスポーツ

玉井 おっしゃる通り、子どもたちがなりたい職業にはYouTuberやeスポーツ選手があがってきており、社会においてデジタルが非常に重要な位置を占めてきていると感じています。試合に向けたメンタルの整え方、勝負へのこだわり、チームプレーの大切さなど、サッカーや野球などの従来のスポーツと変わらない要素がそこにはあります。

永井 なるほど、従来のゲームという考え方から180度転換する必要がありますね。勝つためにメンタルを鍛える、戦略を練る、コツコツ練習する、体力をつけるなど、ただデジタルコンテンツが媒介としてそこにあるというだけで、全くもってスポーツとしか言いようがないという結論になりますね。

玉井 はい、そこでそうした普段の練習やイベントなどが開催できるフィールドを作って運営しています。実はeスポーツを使ったイベントを企画する企業が大変多くなっています。

永井 どういう目的なんでしょうか。

玉井 会社で扱っている商品の宣伝に資するということが主な目的です。ただ、イベントを開催すれば良いというものでもありませんので、そうした商品のCMのためのeスポーツイベントの開催方法などについて弊社ではコンサルティングも行っています。

永井 eスポーツを取り巻く様々なことに従事されているんですね。今後の展望などありましたら教えてください。

玉井 会社の業務としてももちろんですが、eスポーツをもっと盛り上げていくということと、今回横須賀市さんとコラボしたように地方創生、街を盛り上げていく一助になる活動にも興味を持っています。eスポーツは高価な機器が必要になりますから、学校に普及させるのは至難の業ですが、部活動として外部委託していただくなど、やり方によっては教育機関と連携することも可能だと考えています。

永井 将来なりたい職業の中に入ってきたeスポーツ選手。レベルを上げていくには裾野を広げることも大事ですから、これからの展開に注目です。まちづくりなどの分野と協業することによる行政とのコンビネーションが今後どのような形で進んでいくかも気になるところです。私としても神奈川県でeスポーツを盛り上げていくよう動いていきたいと思います。今日は貴重な時間をありがとうございました。

玉井 ぜひお願いします。こちらこそありがとうございました。